なにかと話題になるマンション管理業界。数年前、管理会社から採算が合わない物件は解約、地方では採算があわなければエリアごと撤退するなど厳しい話を耳にした。一方で最近はマンション管理業協会によるマンション管理適正評価制度というものが始まった。いわばマンション管理に点数が付けられるもので新しい試みで関係者は関心が高い。そんなマンション管理にまつわるみんなが気になってそうなことをマンション管理経験者が集まって語ってみました。
座談会参加メンバー
たかすー:新卒管理会社で中小と大企業のフロントを経験。今はIT企業に勤めている(@miurakun21)
黒ひつじくん:マンション管理士・消防設備士・宅建士・電気工事士。黒いひつじな理事長さんは私がサポートします(@TDmU7jdTLqYw9Sp)
マンション管理士とフロントの違いについて
前回の記事#2
では、今度はガラリと話題を変えて、マンション管理士とフロントの違いや役割、ニーズが生まれる理由というのをお伺いしたいと思います。
これは完全に俺の個人的な見解で回答するよ。元々、マンション管理士なんていらないと思っていたんだよね。
なんでかというと、フロントの仕事じゃないか?と思ってたんだよね。フロントが理事会行って話をまとめて、輪番であたった理事の代わりにフロントが説明をしてあげて、納得いくように提案をして話をつけて総会上程するって流れだよね。
私が現役の頃はまぁ普通にやってましたね。
やってたでしょ?俺も普通にやってもんだって。
俺たちはそれはフロントの仕事だろ?って言ってくれる上司の元で育ったからそうなっているけど、なかなか今はそうじゃなくなってきていて。
一社目でお世話になった会社は上司がアツい人で「理事長の顔に泥を塗るんじゃないよ」とか言ってくれる人で、良い意味で古臭いフロント像っていうのがあって、それが叩き込まれてるから合意形成とか根回しはフロントの仕事だって思ってたよね。
普通に根回しとかはやってたけどな。
てことは管理士とかいらないじゃんって俺は思ってたのよ。
だけど、ここ数年で管理会社の方向性はシフトしてきてて泥臭い根回しはやりませんっていう方向性にはなってきてるよね。
管理委託契約に書かれていることしかやりません、それ以上やるならご自身でやってください。って感じだよね。
そういう仕事の受け方をしてきている今の若い子達は根回しとかはできるようにならないよね。
という今の状況を考えると管理士使うしかないよねって流れになっていくと思う。
フロントに相談してもあまり頼れないという所よね。
もちろんエースフロントは出来る。でもそういう人って支店で働いててせいぜい1~2割くらい。
ツイッターにいる管理クラスタの仲良くさせてもらってるあの人は100人に1人しかいないレベルじゃないかな。
あーそうなんだ(笑
実際にお会いしたことないけどそんな優秀なんだ。
あのクラスの人で組合のために汗かいて仕事して、会社ともうまく調整してアツく仕事している人ってなかなかいないのよ。
いたとしても、会社のブランドの看板物件につけるよね。そうすると優秀なフロントは普通のマンション物件には残らないよね。
望みのフロントが来ない組合は俺みたいな個人を指名して管理士を使うって流れはあると思う。
一方でフロントを交代させるという考え方もありますよね?
その考え方もあるよね。でも当たり引けるか?笑
こいつ使えないって理由でフロント交代をさせられたら、多分管理会社としてはベテラン張らざるを得ないと思います。
大手だとさ、支店の意図ガン無視で全国転勤させるじゃん?
ジョブローテーションね(笑
てことはさ、支店の判断でこの組合はエース張らないと駄目だって判断してるのに、急にすみません九州に異動になりましたとかあるわけじゃん(笑
あるある(笑
大手だと余計そうでさ、中小だとその心配はあまりないけどね。
フロントを指名できないとなると管理士を使うということはあるよね。
フロントを指名出来れば逆に管理士いらないかなとも思うけどね。追加料金取ってフロント指名制度にしたら良いじゃないかってのはある管理クラスタが主張してたよね。
まぁパネマジがどうとかまた別の問題が発生しそうだけど(笑
組合としてはフロントを指名して契約できないというのがあるから、管理士を使うというのはあると思うよね
管理士ってどんな人が使ってるの?
黒ひつじさんは実際に選ばれてると思うのですが、どんなニーズがそこには存在しているのですか?
組合によって全然違くて。
フロントによって得意不得意があるから、裏方で資料作るのは得意だけど根回しは下手くそとか、その逆もあって。
理事長がピンポイントで改革するときって2年くらいかけて一気にやりたいじゃん。その時にフロント変わっちゃって手伝ってくれる人がいなくなっちゃいましたとかだと困るわけじゃない?
てことは改革期とか熱量がある理事長からお声がかかるということですか?
熱量がある組合じゃないと基本声はかからないね。
理事長として成し遂げたいことがあって、それを手伝って欲しいというときに声がかかるね。
特に自分に声がかかるのが、理事長の中ですでに青写真があって議案も自分が書くから「組合員を納得させて欲しい」という合意形成のニーズだね。
あとはこうしたい!っていうビジョンがある人、理事長に限らず経営者にも共通することだと思うけど、思想が尖ってて一般人に理解されにくいっていうのはあるね。
そうすると、黒ひつじ化していくんだよね必ず。で、それを聞いていくと主張が偏っているかもしれないけど間違ってはいなくて。むしろ、何もせずに放置型の組合になってしまうくらいなら、その人の言う通り改革した方が多分マンションのためになる。
この人、言ってることは正しいんだけどあとは言い方だけなんだよなぁって時に俺が呼ばれるケースが多い。
フロントやってると伝え方とか根回し沢山やるから、このタイプの人はこういう言い方とか人によって使い分けることは経験詰んでわかってくるじゃん。理事長はビジョンはあるけど、伝え方の経験は多分あまりなくて、そこはフロントは何件もマンションを担当して経験するわけだからそこはフロントがカバーしてあげる。
その伝え方という所に俺は独立する前はニーズがあると思ってて、というかそういう組合ばっか担当してた。青写真がある理事長に対してフロントがうまくアジャスト出来ず、交代させられて俺がよく行ってたんだよね。
だから火消しだよね、大体炎上してる(笑
「あいつ、絶対許さない。管理会社変えてやる!」って所に行ってた(笑
キツイな(笑
でもそういう人たちって主張があるからちゃんと話を聞いて、わかりましたって言って対応する。
もちろん最初は要求が多いから大変なんだけどね。メール一日何通来るのみたいなさ。
それを3~4カ月やってると、だんだん向こうも信頼してくれるんだよね。「こいつ何も言わなくても理解してくれるな」って。相手も人間だからさ。そうなってくると、こっちの言うことも聞いてくれるようになるんだけど、みんなそこまで行けないんだろうね。支店でそこまで出来るフロントって限られてたし。
でも、そこにニーズって存在しているなって思ったしお客さんはサポートして欲しいって望んでいるわけなんだよね。
本来これは管理会社にやって欲しいことなんだけど、出来るフロントが限られてていつもその理事長のニーズに答えてあげることができないかもしれない。だから俺は独立したんだよね。
なるほどな~
だから俺はそういう使い方をして欲しい
どんなサポートをしてきたの?
具体的にどんなサポートや火消しをしてきたんですか? #4に続く